コラムについて掲載しています。
桜うぐい
瀬瀬走る やまめうぐひの うろくずの 美しき春の 山さくら花
若山牧水
先月初め、ちょうど桜が満開の頃、見事なうぐいを3尾頂いた。昨年頂いたものより大きく、体長は鯖の長さほどもある。背は青黒く、体側に太くて黒い線があり、腹部は朱色の婚姻色を帯びている。
この地方でいう桜うぐいである。
雪解けの水が温む頃から、遡上してくる。桜が満開の頃が産卵前で最も脂がのって、川魚特有の生臭さもなくなる。うぐいが美味しいのはこの時季だけだ。
昨年も5尾頂いた。妻と2人で苦労してさばいた。それまで刺身はしたことはない。さばき方を習ってチャレンジしてみた。小振りで初心者に扱いやすかった。骨と皮に身がかなり残ったが、何とか刺身になった。
昨年の経験があるから、今年はたやすく作れると安易な気持ちでと取り掛かったが、大きくて握れない。すべって度々まな板から落ちた。悪戦苦闘の果てついに諦めた。
手がけた1尾は鱗をとって、適当な大きなに切って味噌汁にすることにした。他の2尾は、魚屋さんに頼んだ。
夕方刺身にし、山葵と大根の白髪を添えて届けてくださった。裏庭の山椒がごく小さな芽を出している。湯飲み茶碗
一杯ほどの若芽が採れた。すり潰して、少量の酢、味醂、砂糖を加えて、味噌に和える。これで食べるのがこの地方のうぐいの伝統的な食べ方だ。これが一番美味い。山椒味噌を三人で分け、うぐいのぬたを味わった。木の芽味噌が無くなると山葵醤油で食べた。ぬたの方がはるかに美味しい。
斐伊川漁協の組合員はよく飯梨川へうぐい獲りに行く方があると聞いた。あちらではうぐいを食べる習慣がないから、よく獲れるそうだ。そう言えば、私が知るところでは、うぐいをたべるのは、雲南市だけのように思う。食文化は色々だ。
こんなに美味しいものをどうして食べないだろう。猫も跨いで通るほど不味いから「猫跨ぎ」と言う地方もあると聞く。
先月末、三刀屋川のうぐいの「すり場」
をNHKが取材した。「すり場」とはうぐいの産卵場所を言う。川石を楕円形に積み上げ、下流の方を開けておく。そこへ入って、雌は石に体を擦り付けて産卵する。
そこをタイミング良く、出口を塞いで捕獲する。斐伊川漁協の19の支部は本流と支流条件がよい場所に設定する。
取材に協力した組合員の方と飯梨川のうぐいの話をした。飯梨川のうぐいより斐伊川のものが美味しいという。斐伊川は堰や瀬が多いから、遡上したうぐいは身がしまっている。それで美味しい。
三刀屋町で獲れたものより掛合町で獲れたものがさら美味いと言われた。鮎にも同じことが言えるとのこと。
困難を乗り越えたものほど、美味だということだ。人間にもあてはまる。苦労を重ねた人ほど奥行きが深い・私には味の微妙な違いは分からないが、納得できた。
若山牧水
先月初め、ちょうど桜が満開の頃、見事なうぐいを3尾頂いた。昨年頂いたものより大きく、体長は鯖の長さほどもある。背は青黒く、体側に太くて黒い線があり、腹部は朱色の婚姻色を帯びている。
この地方でいう桜うぐいである。
雪解けの水が温む頃から、遡上してくる。桜が満開の頃が産卵前で最も脂がのって、川魚特有の生臭さもなくなる。うぐいが美味しいのはこの時季だけだ。
昨年も5尾頂いた。妻と2人で苦労してさばいた。それまで刺身はしたことはない。さばき方を習ってチャレンジしてみた。小振りで初心者に扱いやすかった。骨と皮に身がかなり残ったが、何とか刺身になった。
昨年の経験があるから、今年はたやすく作れると安易な気持ちでと取り掛かったが、大きくて握れない。すべって度々まな板から落ちた。悪戦苦闘の果てついに諦めた。
手がけた1尾は鱗をとって、適当な大きなに切って味噌汁にすることにした。他の2尾は、魚屋さんに頼んだ。
夕方刺身にし、山葵と大根の白髪を添えて届けてくださった。裏庭の山椒がごく小さな芽を出している。湯飲み茶碗
一杯ほどの若芽が採れた。すり潰して、少量の酢、味醂、砂糖を加えて、味噌に和える。これで食べるのがこの地方のうぐいの伝統的な食べ方だ。これが一番美味い。山椒味噌を三人で分け、うぐいのぬたを味わった。木の芽味噌が無くなると山葵醤油で食べた。ぬたの方がはるかに美味しい。
斐伊川漁協の組合員はよく飯梨川へうぐい獲りに行く方があると聞いた。あちらではうぐいを食べる習慣がないから、よく獲れるそうだ。そう言えば、私が知るところでは、うぐいをたべるのは、雲南市だけのように思う。食文化は色々だ。
こんなに美味しいものをどうして食べないだろう。猫も跨いで通るほど不味いから「猫跨ぎ」と言う地方もあると聞く。
先月末、三刀屋川のうぐいの「すり場」
をNHKが取材した。「すり場」とはうぐいの産卵場所を言う。川石を楕円形に積み上げ、下流の方を開けておく。そこへ入って、雌は石に体を擦り付けて産卵する。
そこをタイミング良く、出口を塞いで捕獲する。斐伊川漁協の19の支部は本流と支流条件がよい場所に設定する。
取材に協力した組合員の方と飯梨川のうぐいの話をした。飯梨川のうぐいより斐伊川のものが美味しいという。斐伊川は堰や瀬が多いから、遡上したうぐいは身がしまっている。それで美味しい。
三刀屋町で獲れたものより掛合町で獲れたものがさら美味いと言われた。鮎にも同じことが言えるとのこと。
困難を乗り越えたものほど、美味だということだ。人間にもあてはまる。苦労を重ねた人ほど奥行きが深い・私には味の微妙な違いは分からないが、納得できた。
掲載日: 08-06-24
コラムニストプロフィール
槙原 茂 (まきはら しげる)
元公立高校教員という経験を活かし、情緒、風情あるコラムを掲載します!
【 経歴・バックグラウンド 】
- 1940年旧大原郡加茂町に生まれる。現在まで雲南市加茂町在住。
- 1944年父戦死
- 1963年島根県の公立高校教員に採用される。以後定年退職まで島根県内の 幾つかの高校で英語を教える。
- 1995年10月から島根日々新聞でコラム『木漏れ日」、「プリズム」に拙文を寄せる。
【 家 族 】
母、妻、長男(東京在住)、長女(シドニー在住)
【 著 書 】
詩集: 『水脈』
エッセイ集: 『四季の賦』、『終着駅にて』
【 趣 味 】
山歩き、スキー、釣り、詩作

